住みやすい家の絶対条件として欠かせないものに、「動線」があります。
一戸建てを購入する場合も、リフォームする場合もこの「4つの動線」が非常に重要になります。
今回は、住宅の動線とはどういったもので、どのような点を考慮すべきかについて解説します。
Contents
暮しやすさにつながる家の動線とは?
理想の家・住みやすい家と言われて、どのような家を想像しますか?
さまざまなポイントがあがると思いますが、その条件を満たしても、実際に住んでみて住み心地がよいと感じるかどうかは別。そこには、動線と言う発想が重要となるからです。
動線とは、読んで字の如く「動きの線(道)」です。
自分や家族が暮らす中で、どういう動きをするか、この動線がすぐれた家とは、家族が家の中を動きやすい家となりストレスなく過ごしやすい家と言えます。
家によっては、洗濯を干しに行くときにリビングでくつろいでいる家族に立ち上がってもらわなければならなかったり、来客時に見せたくないところまで見られてしまったり。
最近では、新型コロナウイルスの件もあって帰宅したらできるだけ早く手を洗ってほしいのに、家の奥に入らないと洗面台がない家もあり、何かと不都合を感じます。
これらは、動線がよくない家、または動線を考えていない家となります。
快適な住まいで考えるべき4つの動線
では、快適な住まいにするために考えるべき導線には、どのようなものがあるのでしょうか?
いろいろな考え方がありますが、以下の4つだと考えれば十分ではないかと思います。
・家事動線
・生活動線
・衛生動線
・来客動線
それぞれについて説明していきます。
料理や洗濯など家事に直結する「家事動線」
家事動線とは、料理や洗濯などの家事をするのに関わる動線です。
以前は家事動線を気にするのは女性だけというところが大半でしたが、最近は男性でも意識する人が増えています。
家事はあちこちと動き回るのが特徴です。
ときには室内だけでなく、室外の出入りがあるのもポイント。(ベランダや庭など)
食事のお買い物をすれば、キッチンまで運び込みますし、調理が終わればテーブルに運ぶ。
食事後は片付けもありますし、ゴミも出ます。
キッチンに勝手口を作る方法もありますが、敷地内に入ってから勝手口まで行くのが大変というのでは便利とは言えません。
最近はコンパクトな家が増えているので、勝手口を作らない家がほとんどになっています。
(最近は勝手口と言う言葉も知らない方も居ます。)
それであれば玄関からキッチンまでの動線はますます重要になります。
また洗濯は、洗って外に干す、乾いたら室内に取り込む、たたむという作業があります。
これを動く範囲も広く、効率を考えて配置したいものです。
(最近は干さずに洗濯乾燥機で洗いから乾燥までやってくれる洗濯機がありますよね。)
さらに細々とした家事をするために、時間が過ぎてしまうのは家事動線の悪い家。
洗濯機を回しながら料理はしたいし、子どもの世話をしながら掃除をしたい。
家事は同時進行で複数のことが行われます。これを可能にするのが家事動線のよい家ということになります。
忙しい朝を快適にする「生活動線」
生活動線とは、まさに日常生活を送るための動線です。
特に気になるのは、朝の通勤や通学の準備をする時間。
家族全員がほぼ同じ時間にバタバタするので、不都合が生じやすくなります。
洗面台の広さも重要で、近くに髭剃りやドライヤーなどが収納されていることも重要。
コンセントの場所と数も忘れてはいけないポイントです。
この生活動線は先ほどの「家事動線」と似たような要素があります。
最近注目されている「衛生動線」
新型コロナの流行以降、衛生への関心は非常に高くなり、衛生動線は欠かせない項目となりました。
家に帰ったら、できるだけ早く手を洗いたいと考えるのは当然のこと。
家を建てるとき、水回りは一箇所にまとめた方がよいのですが、そのために玄関から遠く離れた洗面台にわざわざ行かなくてはならないのでは不便になります。
お子さんは、手を洗わなくていいやと考えることもあるでしょう。
水まわりを複数箇所にしなくても、設計の工夫で衛生に配慮した動線を確保することは可能になります。
これは設計士の腕の見せ所とも言える部分。
また衛生動線で気になるのがトイレの場所。
海外では水回りを一箇所にまとめるという観点からか、トイレと洗面台、シャワールームが一箇所にまとめられているのが主流です。
(物件によっては水回りを複数にすると建築費が増したりするのでまとめる場合があります。)
もちろん日本のワンルームにある3点ユニットのように小さいものではないのですが、それでも日本人としてはシャワーを浴びている人の横でトイレをするのは気が引けます。
音や臭いを考えれば、トイレは適切な場所にあってほしいもの。
ここにもメーカーの工夫が出てくるので、ぜひチェックしてほしいと思います。
見せたくないものは見せない「来客動線」
家を買ったり、リフォームすると親戚や友人などが集まる機会が増える方が多くなります。
このときの動線を考えるポイントは、単に動きやすいということではなく、視線にも配慮すということ。
プライベートな部分は隠したいと思う方も多いでしょう。
来客があったら玄関からお迎えし、スムーズにリビングに案内し、安心して話に花を咲かせたいもの。
そして直前にバタバタしなくても、リビングとキッチンだけは片付いている雰囲気になれば、急な来客があっても安心です。
しかし、どんなにリビングをかっこよくしていても、横の部屋に取り込んだ洗濯物が放置されていれば魅力が半減します。また、プライベートな部分を見せないために、来客がくる直前にバタバタとするのも避けたいもの。
これには来客動線が大きく関わるわけです。
快適な家の秘密、回遊動線
「回遊動線」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
回遊動線とは、動線上に行き止まりの場所がなく、家の中をぐるっと一周回れる動線のこと。
いわば、家の中に近道があると言えば分かりやすいかもしれません。
適切な配置の収納が満足度の高い家をつくる
複数の動線を確保するのに重要なポイントがもうひとつあります。
それは収納が適切な場所にあること。
玄関にはシューズボックスがなくてはなりませんし、キッチンには食器棚がなくてはなりません。
それは当然なのですが、さらに深く考えれば、そのサイズか適切な必要があり、うまく隠せるとより便利になります。導線に合わせた収納そしてコンセントなどの電気系統も併せて考えた計画をするのも忘れてはいけません。
家族の時間を快適にするのは、その家でどんな生活がされるのかを意識し、さまざまな動線を確保できる設計をすることが大切です。